猫の起源と世界への広がり|イエネコのルーツと世界の猫たち
私たちのそばにいるイエネコは、どこから来たのでしょうか。祖先とされるリビアヤマネコから、人と暮らし世界へ広がるまでの歴史を、諸説をふまえて中立にたどります。世界各地の猫や日本への渡来の経緯も概観します。
いま膝の上で丸くなっている猫も、たどっていけば野生のヤマネコにつながると考えられています。イエネコの祖先はリビアヤマネコ(ヨーロッパヤマネコの一亜種とされることもあります)だという見方が広く知られていますが、起源や広がりの詳しい経緯については研究が続いており、諸説あるというのが実情です。
この記事では、イエネコがどのように生まれ、人とともに世界へ広がっていったのか、そして世界各地でどんな猫が暮らしているのかを、断定を避けながら大づかみに整理します。招き猫や浮世絵といった日本国内の文化ではなく、あくまで「起源」と「世界史的な広がり」に的をしぼって見ていきます。
イエネコの起源はリビアヤマネコとされる
結論から言えば、現在のイエネコの祖先はリビアヤマネコだとする説が有力とされています。ただしこれは確定した史実というより、遺伝的な研究や出土した骨の分析などを手がかりに導かれてきた推定であり、細部については今も議論があると考えられています。
一般には、砂漠や乾いた土地に暮らしていたヤマネコの一部が、人の生活圏の近くに現れるようになったのが始まりだと言われています。人が穀物をたくわえるようになると、それを狙うネズミが集まり、ネズミを狙うヤマネコにとっても好都合な環境が生まれた、という筋書きがよく語られます。猫が人になつくよう仕向けられたというより、猫のほうが自ら人のそばに寄ってきた側面が大きいのではないか、とも考えられています。
こうした関わりがいつ・どこで始まったのかについては複数の見方があり、年代を一つに断定することは避けるのが無難です。「およそこのころ」と語られる数字も、研究の進展で見直されることがあります。
農耕・交易・船とともに世界へ広がった
猫が世界へ広がった背景には、農耕の広まりと人の移動があったと考えられています。穀物を貯蔵する暮らしとネズミ対策の必要が、猫と人の距離を縮めたという理解が一般的です。
とりわけ交易や航海は、猫の分布を大きく広げた要因としてよく挙げられます。船に積んだ食料をネズミから守る役目を期待され、猫が船に乗って各地の港へ渡っていった、という説明がしばしばなされます。港から港へ、地域から地域へと運ばれるうちに、猫は人の暮らしのある場所ならほぼどこにでも見られる動物になっていった、と考えられています。