蒸気比重と液比重から読み解く第4類の危険性|蒸気は低所に滞留・水に浮く油
第4類はすべて蒸気比重1超で蒸気が低所に滞留し、液比重は1未満で水に浮くものが多い物質群です。比重の意味と蒸気比重≒分子量÷29の関係から、引火・流出時の危険性と注水不適の理由を解説します。
第4類危険物の危険性は、引火点や指定数量といった暗記項目だけでなく、たった2つの「比重」を読むだけで構造的に説明できます。液比重を見れば流出した液体が水に浮くか沈むかが分かり、蒸気比重を見れば発生した蒸気が天井へ抜けるのか足元へ沈むのかが分かるからです。
この記事は比重を覚える対象ではなく『危険性を診断する道具』として扱います。乙4の物化分野では比重と蒸気比重を別物として問う設問が多く、二つを混同すると性質でも消火でも失点します。蒸気比重を分子量から概算する考え方を軸に、引火事故と注水不適がなぜ起こるのかを数値の意味から読み解いていきます。
液比重と蒸気比重は何が違うのか
液比重は水(4℃で1.000)を1としたときの液体の重さの比、蒸気比重は空気(平均分子量約29)を1としたときの蒸気の重さの比で、基準にする物質がまったく異なります。同じ『比重』という言葉でも、片方は液体が水に浮くか沈むか、もう片方は気体が上昇するか滞留するかを示す別々の指標だと最初に切り分けることが重要です。
第4類は液比重が1未満のものが多く、ガソリン約0.65〜0.75、灯油約0.80、軽油約0.85はいずれも水より軽いため、流出すると水面に薄く広がって浮きます。一方で蒸気比重は第4類すべてが1を超えており、ここが液比重との決定的な違いです。つまり『液は水に浮くのに、その液から出た蒸気は空気に沈む』という一見ねじれた挙動が、同じ物質で同時に起こります。
液比重には例外があり、二硫化炭素(約1.26)は水より重く水底に沈みます。この性質を逆手に取り、容器の液面上に水を張って蒸発と空気接触を抑える『水中保管』が成立するのは、液比重が1を超えているからこそです。試験で水に浮くか沈むかを問われたら、まず1を基準に大小を判定する癖をつけると、例外物質も機械的に処理できます。
蒸気比重は分子量÷29で読める
蒸気比重はおおよそ『その物質の分子量÷29』で概算できます。空気の平均分子量が約29(窒素28と酸素32の混合)であるため、分子量を29で割れば空気を1としたときの相対的な重さが出る、という単純な割り算です。これを知っていれば、暗記していない物質でも蒸気が重いか軽いかをその場で判断できます。