色彩検定3級 配色イメージとイメージ語|イメージスケールで言葉と配色を対応させる
色彩検定3級の配色イメージを、イメージスケール(ウォーム⇔クール/ソフト⇔ハード)上にイメージ語と配色を体系的に対応させる視点で解説。暖寒色の感情効果とは区別し、配色を言葉で分類・整理する力を養います。
配色を見て「これはナチュラルな感じ」「こっちはシックでモダン」と言葉で言い当てられる人と、なんとなく好き嫌いでしか語れない人の差は、配色を整理する座標を持っているかどうかにあります。その座標がイメージスケールで、配色や色から受ける印象を、ウォーム⇔クールとソフト⇔ハードという2本の軸が交わる平面の上に位置づける考え方です。色彩検定3級の配色イメージの分野は、この言葉と配色を対応させる力が問われます。
注意したいのは、暖色・寒色がもたらす感情効果(温かい・涼しい、興奮・沈静)と、イメージスケールによる配色の分類は別の話だという点です。前者は1色から受ける感じ方を扱い、後者は配色全体を言葉で仕分ける物差しです。この記事では感情効果の説明は最小限にとどめ、かわいい・シック・ナチュラル・モダンといったイメージ語を、PCCS(日本色研配色体系)の色相とトーンに翻訳し、与えたい印象から配色を逆算で組み立てる手順までを通して整理します。
イメージスケールの2軸|ウォーム-クールは色相、ソフト-ハードはトーン
イメージスケールはおおまかに、横軸にウォーム⇔クール、縦軸にソフト⇔ハードをとった平面として描かれます。横軸のウォーム側には赤・橙・黄といった暖色寄りの配色が、クール側には青・青緑・青紫といった寒色寄りの配色が並びます。これは色相が主に効く軸です。縦軸のソフト側には明度が高く彩度の低い淡い配色が、ハード側には明度が低い、あるいは彩度の高いはっきりした配色が並びます。こちらはトーン(明度と彩度)が主に効く軸だと捉えると、2軸の役割分担がはっきりします。
この平面の上では、配色は4つの象限のどこかに落ちます。ウォーム×ソフトの領域はやわらかく親しみやすい印象、クール×ソフトの領域は涼しげで上品な印象、ウォーム×ハードの領域は力強く活動的な印象、クール×ハードの領域は硬質でシャープな印象、というように、座標の位置がそのまま印象の方向を示します。ある配色を「右上か左下か」と問うだけで、ウォームかクールか・ソフトかハードかが同時に決まり、印象を二次元で粗く言い当てられるのが最大の利点です。
軸の読み方で取り違えやすいのが、ソフト⇔ハードを明度だけの話だと思い込むことです。実際には明度と彩度の両方が関わり、たとえば明度が中程度でも彩度がきわめて高いビビッドな配色はハード寄り(派手で強い)に振れ、逆に明度が高く彩度の低いペールな配色はソフト寄りに振れます。横軸の色相と縦軸のトーンを分けて見て、配色がどちらの軸でどちらへ寄っているかを一つずつ判定するのが、座標を正しく読むコツです。
かわいい・シック・ナチュラル・モダン|イメージ語と配色の対応
平面の各エリアには、その印象を表すイメージ語が住んでいます。「かわいい(プリティ)」はウォーム寄りでソフト、明度が高く彩度はほどほどの、ピンクやクリーム色を中心とした配色です。PCCSのトーンで言えばp(ペール)やlt(ライト)を赤〜黄の色相で組むと、甘くやわらかな印象が立ち上がります。「ナチュラル」は同じソフト側でも、やや暖かい黄〜黄緑の色相に、ltg(ライトグレイッシュ)やsf(ソフト)のくすんだトーンを合わせた、生成りや若葉を思わせる配色です。
クール寄りに移ると言葉が変わります。「クール/クリア」は青や青緑をすっきりした明清色でまとめた、涼しく澄んだ印象です。「シック」はクール寄りでハード方向、低彩度で明度を抑えたグレイッシュやダルのトーンを中心に、灰みを帯びた青・紫・無彩色で構成され、落ち着いた都会的な雰囲気を持ちます。さらにハード方向の極に「モダン」があり、白・黒・グレーの無彩色に高彩度の青などを少量効かせた、無機質でシャープな配色がこれにあたります。ウォーム×ハードには「ダイナミック」(v(ビビッド)の赤・橙が主役)や「ゴージャス」(深い赤や金にdp・dkを重ねた重厚な配色)が位置します。
ここで単色イメージと配色イメージの違いを区別しておきます。単色イメージは1色そのものが持つ連想(赤=情熱、青=冷静など)で、色を見た瞬間に決まります。一方の配色イメージは、複数の色の関係——どの色相をどんなトーンでどう組み合わせたか——から生まれる、組み合わせ全体の印象です。たとえば単色では「赤=派手」でも、その赤をグレーと細く併置すればシックにも転びます。配色イメージを言葉でグルーピングするとは、個々の色ではなく組み合わせ方を束ねて名前を付ける作業であり、ここがイメージスケールの主戦場になります。
同じ語を表す色相・トーンの選び方の傾向
同じイメージ語を表す配色でも、使う色は一通りではありません。それでも語ごとに色相とトーンの「選ばれやすい傾向」があり、そこを押さえると言葉から配色を引き出しやすくなります。鍵を握るのはトーンの統一です。「かわいい」を出したいなら、色相を赤に固定せずピンク・水色・クリームと散らしてかまいませんが、トーンだけはp(ペール)で揃える——この同一トーンでまとめる発想(PCCSのトーンイントーン)が語の印象を安定させます。トーンが揃っていれば色相が多少ばらついても「かわいい」はぶれません。
逆に色相をそろえてトーンを動かす手もあります。「シック」を一色相で表すなら、青系に絞って明度差だけで濃淡をつける、いわゆるトーンオントーンの組み立てが有効です。ここで効いてくるのが、語の印象を決める主因が色相かトーンかという見極めです。温度の方向(ウォームかクールか)を担うのは色相なので「かわいい=暖かい」「シック=涼しい」の骨格は色相で決まり、やわらかさ・強さ(ソフトかハードか)を担うのはトーンなので、同じ色相でもトーンを上げ下げすれば印象を微調整できます。
傾向を一覧にすると、ソフト系の語(かわいい・ナチュラル・クリア)は明度が高く彩度の低いトーン(p・lt・ltg・sf)に寄り、ハード系の語(モダン・ダイナミック・ゴージャス)は彩度の高いトーンか明度の低いトーン(v・dp・dk・無彩色)に寄ります。色相は、暖かい語(かわいい・ナチュラル・ゴージャス)が赤〜黄寄り、冷たい語(クール・シック・モダン)が青〜青紫寄りという対応です。語を聞いたら、まず温度で色相帯を、次にやわらかさ・強さでトーン域を絞る——この二段階で大枠が決まります。
印象から逆算する手順とイメージ語の共有
ここまでを踏まえ、与えたい印象から配色を逆算する手順をまとめます。第一に、伝えたい印象をイメージ語へ翻訳します。「赤ちゃん用品のやさしい雰囲気」なら「かわいい・やわらかい」、「高級時計の広告」なら「シック・ゴージャス」というように、ぼんやりした要望を平面上の住所(イメージ語)に落とし込みます。第二に、その語の座標から軸の値を読み取り、使うべき色相帯とトーン域の大枠を決めます。第三に、そのトーン域から実際の色相を2〜4色選び、トーンイントーンやドミナントといった配色技法で関係を整えます。
第四に、印象を引き締める微調整を行います。ソフトな配色が間延びするなら、ごく狭い面積に一段強いトーンの色を差してアクセントにし、強すぎる配色は無彩色を細く挟むセパレーションで落ち着かせます。最後に面積効果を踏まえ、大きく使う色はサンプルより明度・彩度を一段控えめにして、狙った印象からずれないか見直します。翻訳→座標→技法→微調整という流れを固定すれば、感覚に頼らず印象から配色へ降りていけます。
この枠組みは、複数人でデザインを進める場面でとりわけ威力を発揮します。「もう少しいい感じに」という曖昧な指示は解釈が割れますが、「もう少しクール寄り、トーンはソフトのまま」と軸の言葉で伝えれば、青みを強めつつ淡さは保つ、と修正方向が一意に定まります。配色の良し悪しを個人の好みから切り離し、「ブランドが狙うモダンに対してナチュラル過ぎる」と座標のずれとして議論できるのも利点です。
ただし、イメージ語の境界や流行色(トレンドカラー)の捉え方は流派や年によって揺れ、唯一の正解として固定はできません。流行色は日本流行色協会(JAFCA)などが選定・発表しますが、季節区分の呼び方や色の幅は変わりえます。だからこそ、関係者の間で「このプロジェクトではナチュラルをこの範囲とする」と座標の合意を取ることが大切です。イメージスケールは絶対の地図ではなく、チームで目盛りをすり合わせて使う共有の物差しだと捉えると、コミュニケーションの道具として最大限に活きます。
免責事項
本記事は色彩検定3級の試験対策を目的とした独自の解説であり、公益社団法人 色彩検定協会が発行する公式テキストそのものを転載・代替するものではありません。イメージスケールの軸の取り方やイメージ語の配置、各語に対応づけた色相帯・トーン域は、理解を助けるための一般的な整理であり、流派や教材、改訂によって表現や区分が異なる場合があります。
配色イメージや流行色の捉え方には唯一の正解がない領域も多く、本文の対応づけは学習上の目安としてご活用ください。用語の定義や出題範囲については、必ず色彩検定協会の最新の公式テキストおよび公式問題集で原典の表現をご確認ください。本記事はあくまで試験対策の補助であり、合否を保証するものではありません。
///書いた人
色彩検定3級過去問道場編集チーム
株式会社狼煙(Noroshi Inc.)が運営するNorolu Beaconの編集チーム。 受験生・色を扱う実務者の方が一発合格できることを目指し、 色彩検定協会の公式テキストとJIS規格を照合しながら、 ひとつひとつの記事を手作業で作成しています。
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