トーン配色を実践攻略|ドミナントトーン・トーンオントーン・トーンイントーン
色彩検定3級のトーン配色を、PCCSのトーン概念を使って体系化。同一トーンでまとめるドミナントトーン、明度差を生かすトーンオントーン、色相をそろえるトーンイントーン、トーナル・カマイユまで、配色名と作り方を実例で整理します。
色彩検定3級の配色問題のうち、最も配点が安定して取りやすいのがトーンを手がかりにした配色です。色相環の番号差で組む配色が「どの色相を選ぶか」を問うのに対し、トーン配色は「明るさと鮮やかさの調子=トーンをどう揃えるか・どうずらすか」を問います。PCCSがトーンという軸を独立させたおかげで、赤・黄・青のように色相がバラバラでも、同じ調子に揃えれば一つの作品としてまとまる、という設計が成立します。
この記事では、ドミナントトーン・トーンオントーン・トーンイントーンの三つを中心に、さらにトーナル・カマイユ・フォカマイユ、そして境界を整えるセパレーションまでを、PCCSの色相番号(1〜24)とトーン記号を使った具体的な配色レシピで整理します。名称の暗記で止めず、トーンマップ上で色がどう動いているかを指でなぞれる状態を目指してください。
トーンとは何か ― ドミナントトーンで「色相自由・トーン固定」を体感する
出発点として、トーンが明度と彩度を複合した一つの軸であることを押さえます。PCCSは赤や青といった色相とは別に、ビビッド(v)からグレイッシュ(g)まで有彩色を12のトーンに整理しました。たとえば同じ12:G(緑)でも、v12は信号機のように鮮やかな緑、p12は若葉のような淡い緑、dk12は深い森のような暗い緑になります。色相は同じ緑でも、明るさと鮮やかさの組み合わせ=トーンが変われば印象は別物になる、というのがトーン配色の前提です。色相番号とトーン記号を組にすれば、p2(ペールな赤)・lt8(ライトな黄)・dk18(ダークな青)のように、色を一意の符号で書き表せます。
この符号化が最も活きるのがドミナントトーン配色です。これは画面全体を一つのトーンが支配(dominant)する配色で、色相は自由に選び、トーンだけを一定に保ちます。運動会のポスターでv2(赤)・v8(黄)・v12(緑)・v18(青)と色相を大きく散らしても、すべてビビッドで揃えれば、にぎやかでありながら散漫にならない一体感が出ます。逆に同じ4色相をペールで組めばp2・p8・p12・p18となり、ベビー用品のような優しく淡い統一感に変わります。
ここで重要なのが、ドミナントトーンとトーンイントーンがほぼ同じ仕組みを指すという点です。どちらも「トーンを統一し、色相に変化をつける」配色で、内容は近縁です。慣用としては、3色以上で全体を一つのトーンが覆っている状態をドミナントトーンと呼び、トーンを揃えて色相差を楽しむ配色一般をトーンイントーンと呼ぶと整理できます。試験ではドミナントカラー(色相を固定しトーンを動かす)と入れ替えた誤答が定番なので、ドミナント+トーンなら固定するのはトーン、と機械的に結びつけてください。
トーンオントーンとトーンイントーンを「縦と横」で割り切る
トーンオントーン配色は、色相をそろえたうえでトーンに明度差を大きくつける配色です。on=重ねるという語感の通り、同系色相の濃淡を上下に積み重ねるイメージで、明度差が大きいほど立体感とメリハリが出ます。たとえば2:R(赤)でp2とdp2を合わせると、淡いピンクと深いワインレッドという同じ赤系の濃淡コントラストになり、Webページの薄い背景と濃い見出しのように階層を表現できます。色相が共通なので、明度差を大胆にとっても破綻せず落ち着いて見えるのが特長です。
トーンオントーンとトーンイントーンは名前が似ていて取り違えやすいので、何を揃えて何をずらすかで割り切ります。オントーンは色相を揃えてトーン(明度)をずらす、イントーンはトーンを揃えて色相をずらす、という正反対の関係です。前者は同じ色相の中で濃淡の差を見せる縦の動き、後者は同じ調子のまま色相を渡り歩く横の動き、と方向で覚えると混同しません。設問で『同一色相・明度差大』と書いてあればオントーン、『同一トーン・色相違い』ならイントーンと即断できます。
トーナル・カマイユ・フォカマイユとセパレーションで仕上げる
中間から低めの彩度トーンを使うと、繊細で落ち着いた配色群に入ります。トーナル配色は、ダル(d)を中心にソフト(sf)・ライトグレイッシュ(ltg)といった中明度・中〜低彩度のにごりのあるトーンでまとめる配色です。d2・d8・d14のように色相は変えつつ、くすんだ調子で統一すると、派手さを抑えた大人っぽく上品なまとまりになります。カマイユ配色は、色相差もトーン差もごくわずかで、隣り合う色の境目が判別しにくいほど曖昧にぼかした配色で、ltg2とltg4のように近い色相・近いトーンを重ねると霧がかったニュアンスが生まれます。
フォカマイユ配色は、そのカマイユをほんの少しだけ広げ、色相かトーンに識別できる程度の差をつけた配色です。faux(=まがいの)という語源どおり、カマイユより少しだけ変化が見えるのが境目で、色相差・トーン差の大きさをカマイユ<フォカマイユ<トーナルの順に並べると、紛らわしい三つを一度に押さえられます。仕上げに効くのがセパレーションで、色と色の間に無彩色(W=白・Bk=黒・mGy=ミディアムグレイなど)や低彩度色を細く挟み、関係を整える技法です。
セパレーションの働きは二方向あります。補色のように対比が強すぎて目がちらつく配色では、間に白や黒の線を入れて衝突をやわらげます。逆にトーンが揃いすぎて境目がぼやけるトーンイントーンやカマイユでは、間に黒の縁取りを入れて各色を引き締め、輪郭をはっきりさせます。ステンドグラスの黒い鉛線、ユニフォームの白いパイピング、インフォグラフィックの罫線が、いずれもこの中立の仕切りとして機能しています。トーン配色で『まとまりはあるが平板』と感じたら、セパレーションで輪郭を足すと配色設計の幅が広がります。
トーンの感情効果から配色を逆算する
各トーンが運ぶ感情効果を配色名と結びつけておくと、設計が一気に速くなります。ビビッド(v)は活発で派手、若々しく刺激的な印象を与えるため、セールやスポーツの告知に向きます。ペール(p)やライト(lt)は淡く優しく、軽やかで清潔感があり、ベビー用品や春物の販促に合います。対してダーク(dk)やディープ(dp)は重厚で濃密、高級感や伝統を感じさせるため、ウイスキーや老舗の包装に選ばれます。トーナルやグレイッシュ(g)系は地味で渋く、落ち着いた大人の雰囲気を担います。
この対応を逆算に使えば、出したい気分から配色技法を選べます。『にぎやかで目立たせたい』ならビビッドで色相を散らすドミナントトーン、『優しくまとめたい』ならペールでそろえるトーンイントーン、『同系色で奥行きを出したい』ならオントーンで明度差をとる、という具合です。トーン配色を、名称の暗記ではなく『どんな印象を作りたいか』から手を動かす道具として使いこなせれば、3級の配色問題はもちろん、実際のデザインでも武器になります。
免責事項
本記事は色彩検定3級の試験対策として独自に編集した解説であり、公益社団法人色彩検定協会が発行する公式テキストや公式問題集の内容を転載・代替するものではありません。トーン記号・色相番号・配色技法の名称や分類の細部は、PCCS体系の改訂や公式テキストの版によって表記が変わる場合があるため、最終的には必ず最新版の公式テキストでご確認ください。
配色名の境界(たとえばトーナルとカマイユ、ドミナントトーンとトーンイントーン)は、文献や版によって説明の粒度が異なることがあります。記述の正確性には十分配慮していますが、色彩検定協会の公式情報と本記事に差異がある場合は公式情報を優先してください。試験対策上の理解と、実際の印刷物・モニタでの色の見え方は別物であり、商業デザインに応用する際は必ず実物の色見本で検証することをおすすめします。
///書いた人
色彩検定3級過去問道場編集チーム
株式会社狼煙(Noroshi Inc.)が運営するNorolu Beaconの編集チーム。 受験生・色を扱う実務者の方が一発合格できることを目指し、 色彩検定協会の公式テキストとJIS規格を照合しながら、 ひとつひとつの記事を手作業で作成しています。
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