PCCS色相環24色相の番号体系と心理4原色を正しく理解する
色彩検定3級で頻出のPCCS色相環24色相について、色相番号と記号の正しい対応、心理4原色の位置、補色関係、マンセル表色系との違いを正確に整理して解説します。
色彩検定3級の学習でつまずきやすいのが、PCCS色相環の番号と記号の対応です。「6番がオレンジだったか、それともyO(黄みのオレンジ)だったか」と曖昧なまま試験に臨むと、配色問題や色相差を問う設問で確実に取りこぼします。本稿では24色相の正確な対応表、心理4原色の配置原理、補色関係の数式的な扱い、そしてマンセル表色系との明確な区別までを、暗記ではなく理解として定着させる形で整理します。
PCCS(Practical Color Co-ordinate System、日本色彩研究所が1964年に発表)は配色実務のために設計された体系で、JIS Z 8721(マンセル表色系のJIS)とは別物です。この前提を取り違えると、検定本番で「PCCSはJIS規格である」という誤った選択肢を正しいと判断してしまうので、最初に明確に切り分けておきます。
心理4原色は「知覚的等間隔」であって幾何学的90度ではない
PCCS色相環の24色相は、円周上に等しい角度で並んでいるように図示されますが、その配列の根拠は「見た目に等間隔に感じられる」という知覚原理(ヘリングの反対色説に基づく心理4原色)です。心理4原色とは2:R(赤)・8:Y(黄)・12:G(緑)・18:B(青)の4色で、これらは色相環上で互いに独立した「純粋な原色感」を持つ色として配置されています。
重要なのは、4原色の間隔が幾何学的な90度等間隔ではないという点です。色相番号で確認すると、2:Rから8:Yまで色相差6、8:Yから12:Gまで色相差4、12:Gから18:Bまで色相差6、18:Bから2:R(=26:R)まで色相差8となり、それぞれの区間の「歩幅」が異なります。これは赤から黄の間に存在する「オレンジ系統の知覚段階」と、緑から青の間に存在する「青緑系統の知覚段階」では、人の目が感じ取る違いの細かさが異なるためです。
ここを「4原色は90度ずつ等間隔」と誤って覚えると、補色関係や色相差の計算で必ずズレが生じます。図上は等間隔に並んでいても、論理的な区切りは色相番号で考えるのが正しい理解です。
色相番号と記号の対応表 ― O=5、yO=6を間違えない
24色相の番号と記号の対応で受験者がもっとも混乱するのが、オレンジ周辺の4番〜7番です。正確には、3:yR(黄みの赤)、4:rO(赤みのオレンジ)、5:O(オレンジ)、6:yO(黄みのオレンジ)、7:rY(赤みの黄)の順に並びます。「オレンジ=O」が5番、その隣の「黄みのオレンジ=yO」が6番という順序を、ここで確実に固定してください。「6番がO」と覚えてしまうと、配色問題で1つズレた答えを選び続けることになります。
全体像としては、1:pR(紫みの赤)・2:R(赤)・3:yR(黄みの赤)・4:rO(赤みのオレンジ)・5:O(オレンジ)・6:yO(黄みのオレンジ)・7:rY(赤みの黄)・8:Y(黄)・9:gY(緑みの黄)・10:YG(黄緑)・11:yG(黄みの緑)・12:G(緑)・13:bG(青みの緑)・14:BG(青緑)・15:BG(青寄り)・16:gB(緑みの青)・17:B(緑寄り)・18:B(青)・19:pB(紫みの青)・20:V(青紫=ヴァイオレット)・21:bP(青みの紫)・22:P(紫)・23:rP(赤みの紫)・24:RP(赤紫)となります。心理4原色である2:R・8:Y・12:G・18:Bは「純粋な原色感」をもつ位置で、14と15の二つの BG、17と18の二つの B のうち、それぞれ18:Bと14:BGの側が純粋寄り、15:BG・17:Bはその隣の心理原色から離れる方向(15は青寄り、17は緑寄り)の補助位置と捉えると番号と寄り方向が一致します。
記号の頭文字の小文字(y/r/g/b/p)は「〜みの」という形容を表し、大文字部分が主たる色相を示します。たとえば「rO」は「赤みを帯びたオレンジ」、「gY」は「緑みを帯びた黄」という構造で、記号を見ただけで色味の方向が読み取れる設計になっています。
補色は色相差12 ― 計算式として扱う
PCCS色相環における補色とは、円周上で180度対向に位置する色のことです。24色相を半分に割ると12なので、補色関係にある2色の色相番号差は常に12になります。これは暗記項目ではなく、足し引きで導ける計算式です。
具体例を確認します。2:R(赤)に12を足すと14:BG(青緑)で、これが赤の補色です。8:Y(黄)に12を足すと20:V(青紫)、これが黄の補色です。12:G(緑)に12を足すと24:RP(赤紫)、18:B(青)に12を足すと30となり、24を超えるので30-24=6:yO(黄みのオレンジ)が青の補色となります。番号が24を超えたら24を引く、というだけのシンプルな処理です。
この「差12」を使えば、配色問題で「次のうち補色配色はどれか」と問われたときに、各選択肢の番号差を即座に計算して判定できます。たとえば「3:yRと15」「5:Oと17」のように差が12になるペアが補色色相配色、それ以外は別の色相差区分に分類されます。
色相差による配色分類とマンセル表色系との区別
配色技法を学ぶうえで、色相差の数値帯ごとの分類は必須知識です。色相差0が同一色相、1が隣接色相、2〜3が類似色相、4〜7が中差色相、8〜10が対照色相、11〜12が補色色相、と段階的に区分されます。たとえば2:Rと5:Oは色相差3なので類似色相配色、2:Rと10:YGは色相差8なので対照色相配色、2:Rと14:BGは色相差12なので補色色相配色、という具合に番号の引き算だけで配色タイプを判別できます。
一方、マンセル表色系は構成原理がまったく異なります。基本10色相(R/YR/Y/GY/G/BG/B/PB/P/RP)を各10段階に細分し、合計100色相で円周を構成します。たとえば「5R」「10YR」「2.5Y」のように「数値+色相記号」で表記し、PCCSの「2」「8」「12」のような24分割の連番とは表記体系そのものが違います。
両者を混同しやすい原因は、どちらも円形の色相環で図示されることと、色相記号(R・Y・G・B等)に重複があることです。検定では「5Yはマンセル、5:OはPCCS」というように、文脈で体系を判断する必要があります。「100色相に分割されているのはどちらか」と問われたらマンセル、「心理4原色を基準に24分割されているのはどちらか」と問われたらPCCSと切り分けて覚えるのが確実です。
心理4原色を起点にした効率的な暗記法
24色相をいきなり全部暗記しようとすると挫折します。推奨する手順は、まず心理4原色の番号(2:R・8:Y・12:G・18:B)だけを固定で覚え、その間を埋めるという方法です。2から8の間は6つ分の歩幅があり、3:yR・4:rO・5:O・6:yO・7:rYの5色を挟みます。8から12は4つ分なので9:gY・10:YG・11:yGの3色、12から18は6つ分で13:bG・14:BG・15:BG寄り・16:gB・17:B寄りの5色、18から2(=26)は8つ分で19:pB・20:V・21:bP・22:P・23:rP・24:RP・1:pRの7色を挟む、という構造で全体像を把握します。
この「歩幅の差(6・4・6・8)」こそが、心理4原色が幾何学的等間隔ではないことの実証です。逆に言えば、4原色さえ正確に覚えれば、その間の色相は「R寄り→中間→Y寄り」のような向きと記号の規則性で導出できます。記号の頭文字小文字(y/r/g/b/p)が指す方向を理解すれば、丸暗記の負担は大幅に下がります。
PCCSは色相・明度・彩度の3属性に加えてトーン概念(ビビッド・ペール・ダルなど有彩色12+無彩色5の計17トーン)を組み込んだ配色用途の体系であり、色相環の理解はその後の配色技法すべての前提になります。3級合格の最短距離は、ここで番号と記号の対応を曖昧にせず固めることです。
免責事項
本記事は色彩検定3級の試験対策を目的とした解説であり、最新かつ正確な情報は公益社団法人色彩検定協会が発行する公式テキストおよび公式問題集をご確認ください。試験範囲・出題形式・配点等は改訂される場合があります。
PCCS(日本色彩研究所)およびマンセル表色系の仕様は、本記事執筆時点の一般的な知識に基づいて整理しています。実際の試験対策においては、色彩検定協会の公式テキストに記載された定義・記号・数値を最優先の根拠としてください。
本記事の内容によって生じたいかなる損害についても、執筆者は責任を負いかねます。検定合格を保証するものではなく、公式テキストとの併用学習を前提とした補助教材として活用ください。
///書いた人
色彩検定3級過去問道場編集チーム
株式会社狼煙(Noroshi Inc.)が運営するNorolu Beaconの編集チーム。 受験生・色を扱う実務者の方が一発合格できることを目指し、 色彩検定協会の公式テキストとJIS規格を照合しながら、 ひとつひとつの記事を手作業で作成しています。
公開日:
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