PCCSトーン体系17トーンの記号と明度彩度マップを完全マスター
色彩検定3級のPCCSトーンについて、有彩色12トーン+無彩色5段階の17トーン体系、トーン記号、明度彩度マップの読み方、各トーンが伝える印象効果を正確に解説します。
色彩検定3級で必ず登場するPCCS(Practical Color Co-ordinate System)は、日本色彩研究所が配色実務のために独自に開発したカラーシステムです。マンセル表色系のように物理的な色の同定を目的とするのではなく、色相・明度・彩度を統合した「トーン」という概念を導入することで、配色を言語化して扱えるようにした点が最大の特徴です。
本記事では、有彩色12トーンと無彩色5段階を合わせた17トーン体系の記号と名称、明度彩度マップ上での相対位置、そして各トーンが伝える印象効果までを、検定で問われる粒度で整理します。トーン記号を見たら即座に位置と印象が浮かぶ状態を目指してください。
PCCSの位置づけ ― JIS規格ではなく配色用の独自体系
まず大前提として押さえておきたいのが、PCCSはJIS規格そのものではないという事実です。JIS Z 8721はマンセル表色系に基づく色の表示方法を定めた日本工業規格であり、PCCSのために制定された規格ではありません。PCCSは1964年に日本色彩研究所(略称:日色研)が配色教育・配色設計のために発表した体系で、検定や学校教育で広く採用されているために「日本の標準」のように扱われていますが、正確には民間機関が開発した配色用カラーシステムという位置づけになります。
PCCSが扱う属性は色相(Hue)・明度(Lightness)・彩度(Saturation)の三属性に加え、明度と彩度を一体化させたトーン(Tone)という第四の軸を持つ点が独自です。マンセルが「色を一つ一つ正確に同定する」ためのものさしだとすれば、PCCSは「色同士の関係性を扱う」ためのものさしと考えるとイメージしやすいでしょう。色相は24分割、明度は実色票で1.5(=Bk)〜9.5(=W)の範囲、彩度は色相環上の色に対し数値+sで1s〜9s(色相により上限は異なる)の段階で表現されます。無彩色には彩度値を付けず、W/ltGy/mGy/dkGy/Bkの記号のみで表します。
17トーンの内訳 ― 有彩色12+無彩色5の正確な構成
PCCSのトーンは合計17種類です。内訳は有彩色12トーンと無彩色5トーンで、これを暗記しているかどうかが3級突破の分かれ目になります。有彩色12トーンの記号と名称は次の通りです。v(ビビッド/vivid)、s(ストロング/strong)、b(ブライト/bright)、lt(ライト/light)、p(ペール/pale)、ltg(ライトグレイッシュ/light grayish)、sf(ソフト/soft)、d(ダル/dull)、dp(ディープ/deep)、dk(ダーク/dark)、dkg(ダークグレイッシュ/dark grayish)、g(グレイッシュ/grayish)。記号は基本的に英語名称の頭文字または短縮形ですが、ライトグレイッシュがltgなのに対しダークグレイッシュはdkgと表記が揃わない点に注意してください。
無彩色は5段階で、明るい順に W(ホワイト)/ ltGy(ライトグレイ)/ mGy(ミディアムグレイ)/ dkGy(ダークグレイ)/ Bk(ブラック)です。重要な数値として、W=明度9.5、Bk=明度1.5と覚えてください。マンセル明度0は理論上の完全な黒で実色票には存在しないため、「PCCSのBkがマンセル明度0に対応する」という説明は誤りです。実用上扱える最も暗い色票がBk(=明度1.5)であると理解しておくと、選択肢の引っかけにも対応できます。
トーンマップの読み方 ― 縦軸明度・横軸彩度の概念図
トーンマップは、縦軸に明度(下が暗く、上が明るい)、横軸に彩度(左が低彩度、右が高彩度)をとった概念図として描かれます。マップ右端の中段付近にビビッド(v)が位置し、ここがPCCSにおける最高彩度の領域です。vを基準に、明度を上げると b(ブライト)→ lt(ライト)→ p(ペール)と推移し、明度を下げると s(ストロング)→ dp(ディープ)→ dk(ダーク)と移行します。
横方向に彩度を下げていくと、明清色側では p から ltg(ライトグレイッシュ)へ、中明度では sf(ソフト)→ d(ダル)→ g(グレイッシュ)へ、暗清色側では dk から dkg(ダークグレイッシュ)へと辿り着き、最終的に無彩色軸(W〜Bk)に合流します。マップを暗記する際は「v を頂点として上・下・左へ広がる三角形の地形」をイメージすると、12個の相対位置を一度に把握できるはずです。検定では「トーン記号を見てマップ上の位置を選ぶ」「マップ上の点に対応する記号を選ぶ」の双方向出題があるため、両方向で答えられる練習をしておくと安心です。
トーンが伝える印象効果と配色への応用
PCCSの強みは、トーン名そのものが印象語として機能する点にあります。代表的な印象を整理すると、ビビッド(v)=活発・派手・若々しい、ブライト(b)=陽気・健康的・明るい、ライト(lt)=さわやか・子どもっぽい、ペール(p)=柔らかい・優しい・甘い、ライトグレイッシュ(ltg)=落ち着いた・大人っぽい、ソフト(sf)=穏やか・ぼんやり、ダル(d)=鈍い・くすんだ、ディープ(dp)=濃い・伝統的、ダーク(dk)=重厚・大人・落ち着き、ダークグレイッシュ(dkg)=陰気・硬い、グレイッシュ(g)=渋い・地味、ストロング(s)=強い・くどい、といった対応で実務でも使われます。
この印象語の対応を活かすのが、配色技法の基礎であるトーン・イン・トーン配色とトーン・オン・トーン配色です。前者は「複数の色相を選び、トーンを統一する」方法で、色相が違ってもまとまった印象が得られます。例えば p2(ペールな赤)・p8(ペールな黄)・p18(ペールな青)を組み合わせれば、淡くて優しいまとまりが生まれます。後者は「色相を統一し、トーンに明暗差をつける」方法で、例えば lt12(ライトな緑)と dk12(ダークな緑)を組み合わせると、緑という共通項を保ったまま立体感や奥行きが演出できます。
PCCSでは色相番号+トーン記号という二要素で色を一意に特定でき、これが「配色の言語」として機能します。番号と記号の対応では、心理4原色である 2:R(赤)・8:Y(黄)・12:G(緑)・18:B(青)を基準に、5:O(オレンジ)・6:yO(黄みのオレンジ)のように O が5番、yO が6番である点を取り違えないでください。なお心理4原色は「知覚的に等間隔」であって、色相番号が幾何的に正確に6番ずつ並ぶ等間隔ではない(色相差は 6・4・6・8 のように不等)ことも、3級の頻出ポイントです。
免責事項
本記事は色彩検定3級の試験対策として独自にまとめた解説であり、公益社団法人色彩検定協会が発行する公式テキストや公式問題集の内容を転載・代替するものではありません。記号の対応や数値表記など細部については、必ず最新版の公式テキストで確認してください。
PCCSの色相番号・トーン記号・明度値などは改訂や運用上の細部更新が行われる場合があります。記述の正確性には十分注意していますが、最終的な試験対策の判断は受験者ご自身の責任で行ってください。色彩検定協会の公式情報および公式テキストの記述と本記事に差異がある場合は、公式情報を優先してください。
本記事の内容を実務での配色設計や商業デザインに利用する際には、案件ごとの色見本・印刷条件・モニタ環境などによって色の見え方が変わるため、必ず実物による検証を行ってください。試験対策上の理解と実務上の運用は別物として扱うことをおすすめします。
///書いた人
色彩検定3級過去問道場編集チーム
株式会社狼煙(Noroshi Inc.)が運営するNorolu Beaconの編集チーム。 受験生・色を扱う実務者の方が一発合格できることを目指し、 色彩検定協会の公式テキストとJIS規格を照合しながら、 ひとつひとつの記事を手作業で作成しています。
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