星はなぜ動いて見える?|天球と日周運動・年周運動、季節の星座と日食月食・流星群・暦のしくみ
星の動きも季節の星座も日食月食も、もとをたどれば地球の自転と公転、そして月の公転という三つの動きに行き着きます。天球という考え方を入口に、見え方の理由から現象を読み解き、流星群と暦のしくみまでを一本の筋で整理します。
夜空の現象は、地球の自転・地球の公転・月の公転という三つの動きに還元すると、ほとんどが理屈で説明できます。星が東から昇るのも、季節ごとに見える星座が入れ替わるのも、日食や月食が起きるのも、この三つのどれが効いているかを見分けるだけで整理がつきます。
この記事では、(1)天球という考え方と一日の星の動き、(2)一年をかけた星座の移り変わり、(3)日食と月食のしくみ、(4)流星群が毎年同じ頃に見られる理由、(5)暦がどうつくられているか、という順に解説します。丸暗記ではなく、位置関係の図を頭に描きながら読み進めてみてください。
天球とは何か?|星の一日の動きは地球の自転の裏返し
天球とは、空を見上げたときに星がその内側に貼りついているように見える、仮想の大きな球面のことです。実際には星までの距離はばらばらですが、方向だけを問題にするときには、この球面を想定したほうが位置を表しやすくなります。
天球には、地球の緯度や経度にあたる目盛りが引かれています。地球の自転軸を延長して天球と交わる点が天の北極と天の南極で、地球の赤道を延長した大円が天の赤道です。天の北極のごく近くにあるのが北極星で、こぐま座に属します。北極星の高度は、その場所の緯度にほぼ等しくなるとされます。また、観測者の真上である天頂を通って南北を結ぶ大円は子午線と呼ばれ、天体が子午線を通過してその日いちばん高くなることを南中といいます。
星は一晩のうちに、東から昇って南の空を通り、西へ沈んでいくように見えます。北の空では、北極星のあたりを中心にして反時計回りに回っていくように見えます。これが日周運動です。ただし動いているのは星ではなく地球のほうで、地球が西から東へ自転しているために、天体が反対向きに動いて見えているにすぎません。見かけの動きと実際の動きを取り違えないことが、この分野を理解する第一歩になります。
季節によって星座が変わるのはなぜ?|年周運動と黄道の傾き
季節ごとに見える星座が入れ替わるのは、地球が太陽のまわりを一年かけて公転しているからです。地球の位置が変われば、夜の側がどの方向を向くかも変わり、同じ時刻に見える星空が少しずつずれていきます。
同じ時刻に空を見上げると、星座の位置は一日あたりおよそ1度、一か月でおよそ30度ずつ西へずれていきます。これが年周運動で、一年かけて一周し、また同じ星空に戻ってきます。星座は、明るい星を結んだ形の呼び名であると同時に、国際的な取り決めによって天球上を区切った領域の名でもあり、全天は88の星座に分けられています。季節の目印としては、ベガ・デネブ・アルタイルを結ぶ夏の大三角や、ベテルギウス・シリウス・プロキオンを結ぶ冬の大三角がよく用いられます。
天球上を一年かけて太陽が移動していくように見える通り道を黄道といいます。黄道が通る一帯にある星座は、その季節には太陽と同じ方向にあるため、夜に見ることができません。また、地球の自転軸は公転面に対しておよそ23.4度傾いており、この傾きこそが季節を生み出しています。太陽の高度が高く昼が長くなるのが夏至の頃、逆が冬至の頃で、昼と夜の長さがほぼ等しくなるのが春分・秋分の頃です。星座は天文学における天球の区分であり、本記事では星や星座を天体として、その見え方と位置関係の観点からのみ扱います。
日食と月食はどう起きる?|太陽・地球・月が一直線に並ぶとき
日食は月が太陽を隠す現象で新月のときに、月食は月が地球の影に入る現象で満月のときに起こります。隠す側と隠される側が入れ替わるだけなので、どちらがどちらかは月の満ち欠けとセットで覚えると迷いません。
日食は、太陽・月・地球がこの順に一直線に並び、月の影が地球に落ちることで起こります。太陽がすっかり隠れるものが皆既日食、一部だけ欠けるものが部分日食です。月が地球から遠い位置にあって見かけの大きさがやや小さいときには、太陽が細い輪のように残る金環日食となります。皆既日食のときには、普段は見えない淡いコロナが太陽のまわりに広がって観察できます。
月食は、太陽・地球・月の順に並び、地球の影の中を月が通ることで起こります。月がすっぽり影に入るものが皆既月食です。このとき月は真っ暗にはならず、地球の大気で曲げられた赤い光がわずかに届くため、赤銅色に見えるとされます。新月も満月も毎月めぐってくるのに日食や月食が毎月は起きないのは、月の通り道が黄道に対しておよそ5度傾いているためで、三つの天体がきちんと一直線に並ぶ機会が限られるからです。太陽を観察する際は、望遠鏡や双眼鏡で直接のぞくと目を痛める危険があるため、部分日食や金環日食の観察には必ず専用の器具と正しい方法を用いてください。
流星群はなぜ毎年同じ頃に見られる?|彗星が残した塵の帯
流星群が毎年決まった時期に見られるのは、彗星などが軌道上に残していった塵の帯を、地球が公転のたびに同じ場所で横切るからです。地球の側に予定表があるようなもので、だからこそ日付が毎年ほぼ一定になります。
流星は、宇宙空間の小さな塵が地球の大気に高速で飛び込み、大気との作用で光る現象です。流星群のときには、これらの塵がほぼ平行に飛び込んでくるため、地上からは天球上の一点から放射状に飛び出すように見えます。この中心点が放射点で、放射点のある星座の名をとって、ペルセウス座流星群、ふたご座流星群、しぶんぎ座流星群などと呼ばれます。この三つは三大流星群と呼ばれることがあります。
見える流星の数は年によって変動し、月明かりの有無や空の暗さにも大きく左右されます。観察するときは、望遠鏡や双眼鏡ではなく肉眼で空を広く見渡すほうが向いています。屋外での観察は、安全な場所を選び、私有地に立ち入らないなど周囲への配慮を忘れないようにしましょう。なお、大気圏で燃え尽きずに地表まで到達したものは隕石と呼ばれ、空で光る流星とは呼び分けられます。
暦はどうつくられている?|太陽暦・太陰暦・太陰太陽暦の違い
暦は、何を基準に一年や一か月を決めるかによって三つに分かれます。太陽の動きを基準にするのが太陽暦、月の満ち欠けを基準にするのが太陰暦、両方を組み合わせたものが太陰太陽暦です。
太陽暦は、地球が太陽のまわりを一周する期間を一年とする暦で、季節と日付がずれないという利点があります。一周にかかる期間は365日ちょうどではなくおよそ365.24日とされるため、そのままでは少しずつ季節がずれていきます。そこで数年に一度、日を一日加える閏年という調整が置かれています。
太陰暦は月の満ち欠けの周期を一か月とする暦です。満ち欠けの周期はおよそ29日半とされ、これを12回重ねても太陽の一年には足りないため、季節と日付が年々ずれていきます。このずれを埋めるために、数年に一度うるう月を挿入して調整するのが太陰太陽暦で、日本で旧暦と呼ばれてきたものもこの仲間にあたります。さらに季節の目安として、太陽の天球上の位置を24等分した二十四節気が併用されてきました。立春や夏至、秋分といった呼び名は、この区分に由来します。暦は、天体の運行を生活の単位へ翻訳する工夫の積み重ねだと捉えると、無味乾燥な用語の並びが意味を持って見えてきます。天球・季節と天球・星座・日食月食・流星群・暦は、当サイトでも別々に選んで練習できます。仕組みを理解したつもりでも問われ方が変わると迷いやすい分野なので、手を動かして確かめておくと安心です。
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天文宇宙検定 対策問題道場編集チーム
株式会社狼煙(Noroshi Inc.)が運営するNorolu Beaconの編集チーム。 天文検定の合格を目指す方を後押しできるよう、 標準的な天文学の知見を照合しながら、 ひとつひとつの記事を手作業で作成しています。
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