静電気と引火 — 第4類取扱いで最も多い引火源
ガソリンの給油時に発生する静電気が引火源となる事故は、実際に毎年のように起きています。なぜ静電気が発生し、どう防ぐのか。発生のしくみから対策まで整理します。
第4類危険物の引火事故の原因として最も多いのが静電気の放電です。給油作業中の些細な作業(服を脱ぐ、容器を持ち替える、ノズルを引き抜く)で発生する静電気が、漏れた蒸気に引火するケースは毎年のように報告されています。
静電気は目に見えず予測しにくいため、原理を理解した上で系統的に対策することが必要です。
静電気の発生のしくみ
静電気は2つの物体が接触してから離れる時に発生します。摩擦時に発生するというより、「接触面で電荷が移動した後、分離すると電荷が偏る」と理解するのが正確です。
第4類の取扱いで静電気が発生する代表的な場面:
1.液体の流動:配管内を流れる液体と管壁の摩擦。流速が速いほど発生量が大きい。
2.液体の噴出・落下:高い所からタンクに落下する時、液面で発生。
3.容器・服の摩擦:ポリ容器、化繊の服、靴の摩擦。
4.ろ過・撹拌:流れの乱れで電荷分離が起きる。
なぜ蓄積するのか
発生した静電気が逃げ場を持たないと、電位差が積み重なって蓄積します。第4類危険物が静電気を蓄積しやすい理由:
1.電気の不良導体:ガソリン・灯油・軽油はほとんど電気を通さないため、発生した電荷が抜けない。
2.容器の絶縁性:ポリエチレン製容器は電気を通さない。
3.湿度の低さ:乾燥した冬場は空気中の水分による電荷の逃げ道が少ない。
蓄積された電位差が放電火花となって周囲の可燃性蒸気に引火する、これが静電気火災の典型的なパターンです。
静電気を防ぐ対策
1.アース(接地):タンクや容器を導線で大地に接続し、発生した電荷を逃がす。タンクローリーの給油時に接地クリップを取り付けるのはこのため。
2.流速制限:配管内の流速を遅くする(一般に1m/s以下)ことで発生量を抑える。
3.湿度管理:相対湿度を65〜70%以上に保つことで空気中の水分による電荷漏洩を促進。
4.導電性容器の使用:ポリ容器ではなく金属製容器を使う(ガソリンの携行缶が金属製と決まっているのはこのため)。
5.静電気を発生しにくい服装:化繊ではなく綿の作業服、絶縁性の靴ではなく導電性の安全靴。
6.ゆっくり動作:容器の蓋を急に開ける、ノズルを勢いよく引き抜くなどの急な動作は静電気を発生させやすいため、ゆっくり扱う。
試験での頻出ポイント
静電気の問題で頻出するのは「対策として誤っているもの」を問うパターン。
誤った対策の例として挙げられがちなのは、「絶縁性の高い手袋を使う」「化繊の服を着る」「容器をゆすぐために水道水を高所から注ぐ」「電気を通さないポリ容器でガソリンを運ぶ」など。
「導電性を高める=電荷の逃げ道を作る」が原則。これを覚えておけば、対策の正誤判定はほぼ間違えません。
///書いた人
危険物乙4過去問道場編集チーム
株式会社狼煙(Noroshi Inc.)が運営するNorolu Beaconの編集チーム。 受験生・実務従事者の方が一発合格できることを目指し、 現行の消防法令と市販テキストを照合しながら、 ひとつひとつの記事を手作業で作成しています。
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