ガソリンの性質と取扱い — 引火点-40℃という危険性
第1石油類の代表格、ガソリン。引火点-40℃以下、蒸気は空気の3〜4倍重く、静電気が極めて発生しやすい。第4類危険物の中で最も注意すべき物質の特性を整理します。
ガソリンは第1石油類(非水溶性)を代表する危険物で、日常生活で最も身近な第4類でもあります。指定数量200Lという小さな数字からもわかるように、第4類の中で最も注意すべき物質。試験では性消・物化・法令のすべての分野で頻繁に登場します。
ガソリンの基本データ
引火点: -40℃以下(自動車用ガソリン)
発火点:約300℃
沸点:約30〜220℃ (混合物のため幅広い)
液比重: 0.65〜0.75 (水より軽い)
蒸気比重: 3〜4 (空気の3〜4倍重い)
燃焼範囲:約1.4〜7.6 vol% (狭い)
指定数量: 200L (第1石油類非水溶性)
引火点-40℃以下、ということは冬季の屋外でも常に引火する温度に達しているということ。常温では「いつでも引火する状態」と考える必要があります。
なぜそんなに危険なのか
ガソリンの危険性は3つの性質の組み合わせにあります。
1.引火点が常温よりはるかに低い:常温で蒸気が燃焼下限界に達するため、火種さえあれば即座に引火する。
2.蒸気比重が大きい:漏れた蒸気は床面・地下に滞留し、離れた場所の火種に引火する可能性がある。給油時の蒸気が遠くのタバコの火で引火する事故が実際に起きている。
3.電気の不良導体で静電気が発生しやすい:配管を流れる際の摩擦で大量の静電気を発生し、放電火花が引火源となる。
この3つが重なるため、ガソリンの取扱いには他の燃料以上の厳重な管理が求められます。
取扱い上の注意点
アース(接地):タンクローリーから給油タンクへ移送する際、必ず接地して静電気を逃がす。
容器の規定:ガソリンを携行缶で運ぶ場合、消防法令適合の金属製容器に限定(ポリタンク不可)。セルフスタンドでは原則、容器への給油は不可で、店員による給油が必要。
換気:屋内で取扱う場合は床面付近の換気を重視(蒸気が下に溜まるため)。
火気厳禁:タバコ・電気スイッチのON/OFF・スマートフォン操作も静電気の発生源となるため、給油中は禁止。
ガソリンと灯油の違い
灯油の引火点は約40℃以上で、ガソリンとは桁違いに引火しにくい。同じ燃料に見えても、引火点を見れば危険性が一目でわかります。「灯油は静かに燃やせる、ガソリンは常に爆発の可能性がある」と覚えておくのが安全管理の基本です。
ガソリンと灯油の混同は実際の事故原因として多発しており、灯油用ポリタンクにガソリンを入れて運搬中に静電気で発火、という事例もあります。試験でも実務でも、性質の違いを明確に区別することが重要です。
///書いた人
危険物乙4過去問道場編集チーム
株式会社狼煙(Noroshi Inc.)が運営するNorolu Beaconの編集チーム。 受験生・実務従事者の方が一発合格できることを目指し、 現行の消防法令と市販テキストを照合しながら、 ひとつひとつの記事を手作業で作成しています。
公開日:
///免責事項
本サービスの問題および解説は、現行法令および一般的に流通している危険物取扱者試験の対策教材に基づいて作成しています。ただし、法令改正への追従や個別の事例判断について、その完全性・最新性・正確性を保証するものではありません。
実際の試験は一般財団法人消防試験研究センターが実施します。最終的な合否判定は同センターによるものであり、本サービスの結果は試験合格を約束するものではありません。
本サービスを利用したことにより生じたいかなる損害についても、運営者は責任を負いかねます。実務での危険物取扱いは、必ず現行の法令および所属組織の規定に従ってください。
//この分野の問題で腕試し
[5]クイズで腕試し
性質・消火の問題を集中練習。 10問・5分で実力をチェックできます。