第4石油類とは|ギヤー油・潤滑油の引火点・指定数量6000Lを完全攻略
乙4で出題される第4石油類を徹底解説。ギヤー油・シリンダー油などの潤滑油が該当し、引火点200℃以上250℃未満、指定数量6,000Lが要点です。常温では引火しにくい反面、加熱時の危険性と霧状での燃焼、消火方法まで押さえます。
工場で機械を動かすために欠かせないギヤー油や潤滑油、可塑剤といった重質な油は、危険物乙4では「第4石油類」という品名でひとまとめに扱われます。引火点が200℃以上250℃未満という非常に高い区分で、ライターの火を近づけても常温ではまず燃えません。それでも消防法が危険物として規制するのは、ひとたび加熱されたり霧状になったりすると、石油類らしい激しい燃焼を起こすからです。
この記事では、第4石油類の定義と引火点の数値、ギヤー油・シリンダー油など代表的な品名、指定数量6,000Lという大きな値の意味、そして常温では安全に見えても加熱や噴霧で一変する危険性までを整理します。引火点が一つ下の第3石油類、一つ上の動植物油類とどう線引きされるのかも、本試験で迷わないように具体的な数値で押さえていきます。
定義は引火点200℃以上250℃未満|第3石油類・動植物油類との境界
第4石油類は、消防法別表第一の備考により「1気圧において引火点が200℃以上250℃未満のもの」と定義されています。第3石油類が引火点70℃以上200℃未満、動植物油類が引火点250℃未満ですから、第4石油類はちょうどその間の200℃台前半を受け持つ区分です。境界の数値は「200℃で第3石油類と切り替わり、250℃で動植物油類と切り替わる」と覚えると、3つの区分が一本の数直線でつながります。
ここで注意したいのは、引火点が「以上」「未満」のどちらで区切られているかです。200℃ちょうどは第4石油類に含まれ(200℃以上)、250℃ちょうどは第4石油類には含まれず動植物油類側の扱い(250℃未満)になります。第3石油類との下の境界も同様に、引火点が200℃に達した時点で第3石油類から第4石油類へ移ります。試験では「引火点210℃の油は第何石油類か」といった具体的な数値で問われるため、210℃や230℃と言われたら即座に第4石油類と判断できる状態を目指しましょう。
主な品名と指定数量6,000L|ギヤー油・シリンダー油・可塑剤
第4石油類に含まれる代表的な品名は、潤滑油と可塑剤の2グループに大別すると整理しやすくなります。潤滑油は機械の摩擦面に油膜をつくって摩耗を防ぐ油で、ギヤー油(歯車用)、シリンダー油(エンジンやポンプのシリンダー用)、マシン油、タービン油、モーター油などが該当します。いずれも粘度が高くねっとりした油で、常温では揮発しにくく、加熱されて初めて可燃性の蒸気を出します。もう一方の可塑剤は、プラスチックやゴムに柔軟性を与えるために添加される油状物質で、フタル酸エステル類(フタル酸ジオクチルなど)が代表例です。
指定数量は6,000Lで、第4類の品名の中では動植物油類の10,000Lに次いで2番目に大きい値です。第3石油類の非水溶性2,000Lと比べると3倍の量を、消防法の本則規制を受けずに貯蔵・取り扱えることになります。これは引火点が高く常温での火災危険が小さいことを反映した数値です。注目すべきは、第4石油類には第1〜第3石油類のような「非水溶性」「水溶性」の区分が存在せず、指定数量が6,000Lの一本だけである点です。ギヤー油やシリンダー油はいずれも水に溶けない油で、水溶性の品名が実質的に存在しないため区分が分かれていません。第1石油類が200L/400L、第3石油類が2,000L/4,000Lと水溶性で倍量に分かれるのと対照的で、倍数計算でも貯蔵量を6,000Lで割るだけで済みます。
常温では引火しにくいが加熱で急変する|発火点までの距離
第4石油類の最大の特徴は、常温では引火の危険がほとんどない一方で、加熱されると急に危険な性質に変わる点です。引火点が200℃以上ということは、油の温度を200℃以上まで上げない限り、火を近づけても引火に必要な濃度の蒸気が発生しないことを意味します。常温の倉庫に保管されたギヤー油のドラム缶にマッチを投げ込んでも、まず燃え上がることはありません。
ところが、ひとたび油温が引火点を超えると話は一変します。第4石油類は引火点こそ高いものの、いったん燃え始めると発熱量が大きく、液温が高い状態で燃焼するため火災が大規模化・長時間化しやすいという危険があります。さらに引火点が高い物質は加熱を続けると引火点を超えてやがて発火点に達し、火種がなくても自然に燃え出す恐れもあります。工場で加熱して使う潤滑油やタービン油の周辺で火災が起きやすいのは、こうした「加熱された油」という条件が現場で頻繁に生じるためです。
霧状・布へのしみ込みと消火方法|窒息・冷却の使い分け
もう一つ見落としやすいのが、霧状(噴霧状)になったり布にしみ込んだりすると、引火点より低い温度でも引火しやすくなる点です。液体のままでは表面からしか蒸気が出ませんが、霧状に噴き出すと油が微細な粒となって空気と触れる表面積が一気に増え、引火点に達していなくても着火・燃焼するようになります。高圧の潤滑油配管にピンホールが空いて油が霧状に噴出し、近くの高温部で発火するというのは、実際の機械設備で起こりうる事故です。布や繊維にしみ込んだ場合も同様で、ウエスや保温材にしみ込んだ潤滑油は油膜が薄く広がって燃えやすくなります。「引火点が高い=安全」と単純に考えないことが重要です。
性質の細部も押さえましょう。比重は1より小さく水に浮くものが多いものの、ギヤー油やシリンダー油は粘度(ねばりけ)が高く、灯油や軽油のようにサラサラとは流れません。水溶性については、第4石油類の潤滑油はいずれも水に溶けないため、消火に水をかけると油が水面に浮いて燃え広がるおそれがあり、棒状の注水は適しません。有効なのは、泡消火剤で油面を覆って酸素を断つ窒息消火、二酸化炭素や粉末による窒息・抑制消火です。引火点の高い第4石油類では霧状の強化液による冷却も一定の効果が期待できますが、加熱されて高温になった油の火災では冷却が追いつきにくい場面もあります。水に溶けない油なので、アルコール類で必要となる耐アルコール泡は基本的に不要で、通常の機械泡や化学泡で対応できます。
免責事項
本記事は危険物取扱者乙種第4類の試験対策を目的として、第4石油類の一般的な性質と数値を整理した学習用の解説です。引火点や指定数量、比重などの値は教材・公的資料に基づく目安であり、製品の銘柄や組成によって実際の値は変動します。特定の油の貯蔵・取り扱いの可否や数量規制は、施設の形態や地域の条例によって個別運用が異なります。
実務で第4石油類を貯蔵・取り扱う際の具体的な基準や消火設備の選定については、製造者の安全データシート(SDS)を確認のうえ、所轄消防(管轄の消防本部・予防課)の指導を必ず受けてください。本記事の内容は試験対策上の参考情報であり、法令そのものや公式の指導に優先するものではありません。法令改正や試験要領の改訂により記述が古くなる場合があるため、最新の消防法令とあわせてご活用ください。
///書いた人
危険物乙4過去問道場編集チーム
株式会社狼煙(Noroshi Inc.)が運営するNorolu Beaconの編集チーム。 受験生・実務従事者の方が一発合格できることを目指し、 現行の消防法令と市販テキストを照合しながら、 ひとつひとつの記事を手作業で作成しています。
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