料理と調理2026-08-16·読了9分

和食の調理はどう体系立てられている?|五法・五味・五色とだし、調味の順序で覚える基本

料理名をひとつずつ覚えるより、どんな加熱をして、どんな味の要素を組み合わせ、どんな色を並べるのかという枠組みから見るほうが早く身につきます。五法・五味・五色、だしの取り方、さしすせその理屈、一汁三菜の組み立てまでを整理します。

和食の調理は、五法・五味・五色という三つの物差しと、だしという土台の二本立てで捉えると、ばらばらに見えた料理名が体系のなかに収まります。個々の作り方を覚えるのではなく、どんな加熱をして、どんな味の要素を組み合わせ、どんな色を並べるのかという枠組みから入るのが近道です。

ここでは、膳が偏っていないかを点検する三つの物差し、味の土台となるだし、調味料を加える順序の考え方、そして一汁三菜に代表される献立の組み立て方までを順に取り上げます。

五法・五味・五色とは何を指す?|膳の偏りを点検する三つの物差し

五法は調理の方法、五味は味の要素、五色は彩りを指し、この三つを重ねて膳が偏っていないかを点検する考え方です。同じ加熱方法や似た味つけばかりが並ぶと単調になるため、三つの軸で散らすという発想が土台にあります。

五法は、生・煮る・焼く・蒸す・揚げるの五つを指すとされます。刺身や酢の物は生、煮物は煮る、焼き魚は焼く、茶碗蒸しは蒸す、天ぷらは揚げる、という具合に料理を振り分けてみると、同じ調理法が重なっていないかが目に見えるようになります。

五味は、甘味・酸味・塩味・苦味・旨味とされることが多く、資料によっては辛味を含めて数える場合もあります。五色は白・黒・赤・黄・青(緑)を指し、白は飯や豆腐、黒は海藻やごま、赤は魚や人参、黄は卵や柚子、緑は青菜というように、色を意識して食材を選ぶと膳全体が整います。これらに五感を加えて説明されることもあります。

この三つの物差しは、覚えるためだけの言葉ではなく、実際に膳を組むときの点検表として使われてきたものです。考えた献立を書き出し、それぞれの一品が五法のどれにあたるか、どの色が欠けているかを見ていくと、足りない一品が自然に見えてきます。

だしはなぜ和食の土台なのか?|昆布・かつお節・煮干し・干し椎茸

だしが土台とされるのは、油脂や香辛料を強く使わずに味の輪郭をつくる役目を担っているからです。だしのうま味があることで、少ない調味料でも料理がまとまります。

主なだし素材は、昆布、かつお節、煮干し(いりこ)、干し椎茸です。昆布にはグルタミン酸、かつお節にはイノシン酸、干し椎茸にはグアニル酸といったうま味の成分が含まれ、昆布とかつお節のように種類の違う素材を合わせるとうま味が強く感じられるようになるとされます。これは相乗効果と呼ばれます。

一番だしは、昆布を水に浸してゆっくり温め、沸騰させる前に引き上げてから、かつお節を入れて短い時間で漉したものです。澄んだ香りを生かす吸い物などに向くとされます。取ったあとの素材を再び煮出したものが二番だしで、煮物や味噌汁などに用いられます。温度や時間の目安は資料や流儀によって幅があるため、おおよその手順として押さえておけば十分です。

昆布には真昆布・利尻昆布・羅臼昆布・日高昆布などがあり、用途に応じて使い分けられます。かつお節は、いぶして乾かした荒節と、さらにかびをつけて仕上げた枯節に大きく分けられ、削り方にも厚削りと薄削りがあります。昆布と干し椎茸だけで取る精進だしは、動物性の素材を用いない料理で使われてきました。

だしを取る前の下ごしらえも押さえておきたいところです。昆布は、表面に浮いた白いものもうま味の一部とされ、拭き取りすぎないように扱うと説明されることがあります。煮干しは頭とはらわたを取ってから使うと雑味が出にくいとされ、干し椎茸は時間をかけて水で戻し、その戻し汁もだしとして用います。素材ごとに扱いが違う点が、この区分のつまずきやすいところです。

調味料を加える順序「さしすせそ」とは?|味を含ませる順の理屈

「さしすせそ」は、砂糖・塩・酢・醤油・味噌の順に調味料を加えるという語呂合わせで、味を含ませる順序の目安として広く知られています。順番そのものより、なぜその順なのかという理屈を押さえると応用が利きます。

砂糖を先にするのは、粒子が大きく食材にしみ込みにくいためとされます。塩は浸透が早く、先に入れると食材が締まって砂糖が入りにくくなると説明されます。酢・醤油・味噌はいずれも香りが持ち味で、加熱を続けると風味が飛びやすいため、仕上げに近い段階で加えるのが基本とされています。

味を含ませる工程にも呼び名があります。煮汁を含ませてから冷ましていく間に味が入るという考え方や、下ゆで・下味といった前処理は、和食の煮物を語るうえで欠かせません。実際の加減は素材や献立によって変わるため、順序は原則、加減は目安と捉えておくとよいでしょう。

献立はどう組み立てる?|一汁三菜と、供する順序

献立の基本形として広く知られているのが一汁三菜で、飯と汁に菜を三品添える構成です。三菜の中身を五法と五色で散らしておくと、自然に変化のある膳になります。

三菜は、主となる菜と、それを補う二品という組み立て方が一般的とされます。刺身や酢の物のような生の一品、煮物、焼き物といった顔ぶれにすると調理法が重なりません。これに香の物を添える形が、日常の膳の姿として語られます。

献立を考えるときには、味の重なりにも目を配ります。甘い煮物が二品続かないようにする、酢の物と和え物を並べすぎない、といった具合に、五味の観点で散らすと食べ飽きません。汁の実と菜の食材が重ならないようにするのも、基本の心配りとされます。

もてなしの席では、供する順序にも型があります。先付から始まり、吸い物、向付、煮物、焼き物、揚げ物、酢の物、飯と汁と香の物、そして水菓子へと進む流れが会席の献立として知られています。呼び名や順序は流儀により幅がありますが、汁物と生の一品が早い段階に置かれ、飯と香の物が終盤に来るという骨格は共通しています。当サイトの練習問題も、五法、だしと出汁素材、調味の基本、献立という区分から選んで解けるようにしてあります。

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